ZEN大学で開講されたpixiv提携科目の最終課題に向け、任意参加のオンライン課題合宿が開催されました。
「イラストとエンタテインメントC - 色彩表現概論」ではゲスト講師の桜井輝子先生が、「イラストとエンタテインメントD - キービジュアル」では科目担当のたいらあきら先生が登壇。
少数の学生が参加し、プロとの密なコミュニケーションを通じて、デジタルイラストの技法と「伝える表現」の核心を学びました。
▼pixiv提携科目特設サイト
https://creative.zen.ac.jp/pixiv/
1. 桜井輝子先生「イラストとエンタテインメントC - 色彩表現概論」

東京カラーズ株式会社の代表取締役で、色彩学の第一人者である桜井輝子先生。「色彩に関することなら何でも」と語る先生は、企業向けアドバイスや書籍制作など幅広く活動されています。本授業は、初心者でも楽しく学べ、すぐに実践に活かせるよう、色彩学の中から「使いやすい部分」を抽出して構成されています。
最終課題:色彩表現のコンセプトを明確に、プロからのフィードバックも

最終課題は、指定の線画に色を塗り「なぜその色を選んだか」をコンセプトとして説明することです。
これはクリエイティブな仕事だけでなく、日常のプレゼン資料作成にも役立つ「色のロジック」を学ぶ機会となります。さらに、本授業では最終課題に対して先生から直接フィードバックを受けることができます。
色彩の設定ステップとして、先生はまず「時間帯」を設定し、次に都会や南国などの「場所の雰囲気」を設定、最後に服の色を決めると良いとアドバイス。「地元の駅前など身近なイメージをテーマにすると塗りやすい」という実践的なヒントも飛び出しました。
具体的な配色アプローチの紹介

スライドでトーンの表を紹介し、明るい色(ライト、ペール)、暗い色(ディープ、ダーク)、ビビッドトーン、地味な色の分布を説明。例えば「子ども向け世界観」にはビビッドやペールトーン、和風にはディープやソフトトーンが適しており、その他にも「疾走感」を出すにはコントラストの強い色を組み合わせを使う手法があることや、新緑の黄緑に赤系や青紫系を加えるとインパクトが生まれると解説しました。
質疑応答:色のバランスを判断するには
質問コーナーでは、様々な質問が飛び交いました。
学生が「色同士の相性のバランスを判断する感覚を鍛える方法」について質問すると、先生は、ラフで色を塗った後、絵をグレースケールに変換して明るさや暗さのバランスを確認する方法を提案。
「色相、明度、彩度の3要素で最も重要なのは明度。明度が調整できていれば失敗しにくい」とし、グレースケールで目立つ部分やぼやける部分をチェックすることで、色のバランスの崩れに気づきやすくなり、感覚を磨く実践的な練習になると具体的にアドバイスをしました。
2. たいらあきら先生「イラストとエンタテインメントD - キービジュアル」

家庭用ゲームの3Dステージなどを手掛けるゲームエンバイロメントアーティスト、たいらあきら先生。
本授業ではゲスト講師の荻pote先生と一緒に、キービジュアルの制作を通じ、コンセプトの着想方法や訴求力のあるビジュアルを考察します。
キービジュアルへの挑戦


最終課題は、pixiv提携科目を新入生に訴求するためのキービジュアル制作です。キービジュアルはコンテンツの第一印象を決めるため、「人にどう見られるか」「どう見せたいか」を意識し、エンドユーザーに伝える視点が求められます。
「仕様書を見ても何から手をつけていいか分からない」という質問に対し、先生は、アニメや映画のポスターを参考にすること、そして実際の現場ではクライアントとのミーティングでキャラクター数やポーズなどを詰めていくことを伝えました。
【業界裏話】発注書の「質」がクリエイティブの成否を分ける
「詳細な仕様書と曖昧な仕様書、どちらがやりやすいか?」という質問に対し、先生は発注者側の経験から「発注書の質が成否を左右する」という業界の裏側を明かしました。
- 大雑把すぎる指定(例:何でもOK): クリエイターへの負担が重くなる
- ガチガチの指定: 作家性を出すのが窮屈になる
よって発注側は作家の特性に合わせたキーワード設定が重要であり、慣習の異なる海外クリエイター向けには、誤訳を減らすために70文字以内の簡潔な発注書にする工夫をしているなど、貴重な話が紹介されました。
課題攻略のためのマインドマップ

アイデア出しにはマインドマップが有効だとし、先生自らが作成方法を実演。
「キービジュアルは第一印象が大事。シンプルに伝えることがその作家の腕の見せ所」と強調しつつも、「まずは作家自身が楽しんで描いた絵の方が、受け手に『楽しい』という魅力が伝わるはず」と、学生に自由で楽しい創作を奨励しました。
まとめ
今回のオンライン課題合宿は、先生と学生が密にコミュニケーションを取り、プロの視点から具体的なフィードバックや業界のリアルな話を聞ける貴重な機会となりました。
学生たちは「なぜその色を選ぶのか」「どう見せたいのか」というクリエイティブの核となる思考法を学び、和気あいあいとした雰囲気の中で、表現の第一歩を踏み出すことができました。
pixiv提携科目では、今後も先生とのインタラクティブな交流を通じて、学生の技術と創造性を育む取り組みを続けていきます。
▼pixiv提携科目特設サイト
https://creative.zen.ac.jp/pixiv/
