学校法人日本財団ドワンゴ学園 ZEN大学は、開学後初となる入学式を2025年4月9日に挙行し、3,380名*の第一期生を迎えました。入学式ではアカデミックガウンが披露され、デザインを手がけたコシノジュンコ氏からお祝いの言葉をいただきました。また、作曲家・久石譲氏が手がけた校歌で新入生の門出を祝いました。
☑︎ 高校3年生からの進学が約6割、学生の9割弱は20代以下
第一期生3,380名の内訳を見ると、高校3年生(高等専門学校生を含む)からの進学者が59%と半数を超えました。また系属校であるN高等学校・S高等学校からそのまま進学した学生の割合は全体の42%となっています。新入生の居住地は47都道府県すべて、年齢は18歳から79歳までと多岐にわたります。なお、新入生のうち10代と20代が占める割合は87%にのぼり、若年層が大半を占めています。
*第一期生に関する数値はいずれも2025年4月1日時点
☑︎ 「しなやかな心を持ち、社会とつながり、失敗を恐れず新しいことに挑戦を」
本式は麻布台ヒルズの大階段を舞台に行われました。新入生はオンラインで参列し、ニコニコ生放送のコメント機能を利用して会場を盛り上げました。また、事前に抽選で選ばれた約80名の新入生が会場で参列しました。
学長の若山正人は式辞で「アクティブラーナーにとって、困難への遭遇は避けられません。しなやかな心を持ち、社会とのつながりも意識におき、失敗を恐れず新しいことに挑戦してください。学びにおいては、思考の幹となる専門的知識の獲得に務めると共に、複眼的な思考ができる広い視野の獲得を心がけてください。それらは、皆さんが壁にぶつかった時にも、突破のためのヒントを与えてくれるでしょう。本学での4年間の学修が、皆さんの夢の実現と、豊かで充実した将来に繋がることを期待します」と新入生にエールを送りました。
続いて、新入生を代表し、川手知拓さん、山下瑞季さん、天野ひろ香さんが宣誓を行いました。川手さんは「私はZEN大学で、数理科学の学修に尽力したいと思います。数学は世界の根幹を支える知の体系であり、その探究で思考を研ぎ澄ませたいと考えています。そのために、オンラインを活かした『数学の学修会』を創出して仲間とのコミュニティを築くなど、専門性と多様な視点を吸収しながら可能性を切り拓いていきたいと思います」、山下さんは「私はZEN大学で、多角的な視点の獲得と実践的スキルの修得に取り組みたいと思います。イラストやプログラミングなどの実践スキルを磨くことによって日々進化する技術に対応できる創造的なアプローチを身につけ、表現者として新たな可能性を広げたいと思います」、天野さんは「私はZEN大学での学びを通じて、社会課題の解決に挑戦します。実際に働く方々に寄り添い、課題を丁寧にヒアリングしながら具体的な解決策を探求します。地域・企業連携プログラムに参加し、効率化と同時に仕事の魅力を広められる人材になりたいと思います」と、それぞれ抱負を語りました。
また、アカデミックガウンのデザインを手がけた世界的デザイナーのコシノジュンコ氏が登壇しました。コシノジュンコ氏は大阪・関西万博のシニアアドバイザーであり、ボランティアユニフォームのデザインを監修しています。また、1970年大阪万博では三つのパビリオンのユニフォームのデザインをし、その後の流行に大きな影響を与えました。
コシノジュンコ氏からは「オンラインによる新しい教育という、この時代にふさわしいZEN大学において、この度、アカデミックガウンを作らせていただきました。こういったことは、世界にも稀に見ることだと思います。素晴らしい教育が、これから未来に羽ばたいていってください」とお祝いの言葉をいただきました。
式の終盤では、世界的作曲家の久石譲氏が手がけた校歌「幾千のつばさ」を、新入生と教員が斉唱しました。
式辞を述べる学長の若山正人(左)、新入生宣誓を行う川手知拓さん(右)
新入生宣誓を行う山下瑞季さん(左)、天野ひろ香さん(右)
ZEN大学学長 若山正人 式辞 全文
新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。ご家族の皆様、この日を迎えられましたこと、お慶び申し上げます。
インターネットの普及とAI技術の急速な進歩を背景に超情報化時代を迎えた今日、オンライン学修のみで卒業できるZEN大学はエポックメーキングな存在たりうると考えています。学長として、ZEN大学の第一歩を、皆様と共に踏み出すことができる喜びを胸にする本日です。大学での学修の究極の目標は、自らが望む専門分野の学びを通した生涯学び続ける力の涵養です。そうした力を備えていることの証が学歴です。
開学に向け本学では、学生の皆さんをアクティブラーナーとする環境を整えてきました。教員に加え、皆さん自らが設計して学んでいくための体系的支援を担う専任メンターを組織し、また、オンラインでは不足する対面活動を積極的に補うための多様な機会を創出し、かつ支援の枠組みを順次整備してきました。アクティブラーナーにとって、困難への遭遇は避けられません。しなやかな心を持ち、社会とのつながりも意識におき、失敗を恐れず新しいことに挑戦してください。
学びにおいては、思考の幹となる専門的知識の獲得に務めると共に、複眼的な思考ができる広い視野の獲得を心がけてください。それらは、皆さんが壁にぶつかった時にも、突破のためのヒントを与えてくれるでしょう。広がりは理解を浅くするものではなく、むしろ理解を深めます。1メートルの深さの穴を掘る際、限られた狭い範囲内で掘るよりも、限定しない方が、掘り出す土の量は増えますが、楽ですね。また、クイズ王を目指すのでなければ、記憶力よりも、持っている知識の運用能力こそが重要だということを忘れずいてください。
最後になりますが、正しい疑いの目を養ってください。何も、皆さんの人柄を悪くしようというのではありません。真理を探究する科学者のような態度が大切です。例えば、AIはもっともらしい回答をくれます。しかし、どうしてそう判断したのかは不明です。そのため、AIの回答を鵜呑みにすることなく、疑いをもち検証する必要が生まれます。
皆さんが卒業される頃、時代は予想以上に進んでいることでしょう。本学での4年間の学修が、皆さんの夢の実現と、豊かで充実した将来に繋がることを期待し、私の式辞とさせて頂きます。
2025年4月9日
(5の二乗、2の二乗、3の二乗と、最初の3つの素数から成り立ち、 Hop Step Jump を示しているような勢いのある日です。)
ZEN大学学長 若山正人
新入生宣誓 全文
・川手知拓さん
春の日差しが降り注ぐ今日、私たちはZEN大学第一期生として、新たな学びの扉を開く瞬間に立ち会っています。この記念すべき入学式を挙行してくださった教職員の皆様に感謝申し上げます。デジタル技術が進化する時代に、私たちはオンラインの可能性を活かし、国や地域を超えた学びに挑戦します。
私はZEN大学で、数理科学の学修に尽力したいと思います。元々化学の道を志していた私は、細矢治夫先生のグラフ理論や理化学研究所のホモロジー代数による研究に衝撃を受け、学際的研究への関心が深まりました。数学は世界の根幹を支える知の体系であり、その探究で思考を研ぎ澄ませたいと考えています。そのために、オンラインを活かした「数学の学修会」を創出して仲間とのコミュニティを築くなど、専門性と多様な視点を吸収しながら可能性を切り拓いていきたいと思います。
・山下瑞季さん
私はZEN大学で、多角的な視点の獲得と実践的スキルの修得に取り組みたいと思います。私自身、これまでタレントとして活動する中で、クリエイターとして活躍する同世代の友人たちに刺激を受け、創作する側になりたいという思いが強くなりました。幼い頃から親しんできた2次元コンテンツへの愛を原動力に、イラストやプログラミングなどの実践スキルを磨くことによって日々進化する技術に対応できる創造的なアプローチを身につけ、表現者として新たな可能性を広げたいと思います。
・天野ひろ香さん
私はZEN大学での学びを通じて、社会課題の解決に挑戦します。特に関心があるのは、少子高齢化が進む第一次産業や人手不足に悩む現場です。XR技術を活用した自動化や遠隔操作システムの開発により、これらの課題に取り組みたいと考えています。実際に働く方々に寄り添い、課題を丁寧にヒアリングしながら具体的な解決策を探求します。「体験学習で農業の魅力発見」などの地域・企業連携プログラムに参加し、効率化と同時に仕事の魅力を広められる人材になりたいと思います。
本日、私たちはZEN大学の歴史の第一歩に立ち会いました。この革新的な学びの場は、教育格差の解消と実践的知識の獲得を通じて、私たち一人ひとりの可能性を広げます。多様な背景を持つ仲間との出会いはかけがえのない財産です。私たち第一期生は、この新しい知識共創の場で、未来を切り拓く一歩を踏み出すことを宣誓します。
コシノジュンコ氏 メッセージ 全文
オンラインによる新しい教育という、
この時代にふさわしいZEN大学において、
この度、アカデミックガウンを作らせていただきました。
こういったことは、世界にも稀に見ることだと思います。
素晴らしい教育が、これから未来に羽ばたいていってください。
この度はおめでとうございます。
アカデミックガウンを着用した教職員と、デザイナーのコシノジュンコ氏(最前列中央)