「どこからでも学べる」2つのオンライン大学が逗子で現場体験
2025年10月31日、神奈川県逗子市に拠点を置くZEN大学は、世界の革新的な大学ランキング※の1位に選出されたアメリカ・ミネルバ大学の学生たちと初めての国際協働プログラムを実施しました。両大学に共通するのはオンラインで「どこからでも学べる」スタイル。オンライン学修を軸にしながら、リアルな現場体験を重ねることで、学びを社会や世界につなげていくという点です。株式会社ドワンゴとともにZEN大学を創設した日本財団が、2025年9月にミネルバ大学の日本拠点の設立に携わったことから、このたびの国際協働プログラムが実現しました。
※「WURI」(The World University Rankings for Innovation)。パートナーとして国連調査訓練研究所(UNITAR)らが名を連ねる
逗子海岸でのビーチクリーンを通し、英語で気づきを共有
当日は、逗子キャンパスと逗子海岸を舞台に、約40名の学生が大学の垣根を越えた国際的なチームを編成して活動。日本をはじめ、欧米、アジアなど多様な国・地域から集まった学生たちが、英語で意見を交わしながらプログラムを進行しました。
午前のセッションでは、笹川平和財団海洋政策研究所 上席研究員の塩入同(しおいり・とも)さんを講師に迎え、「相模湾におけるダムの影響」や「瀬戸内海のごみ問題」など、海洋環境の現状について講義を実施。塩入さんは、「海は国境を越えてつながっており、守るためには世界的な視点が欠かせない。そのためにゴミを出さない工夫やビーチクリーン活動が必要」と語り、学生たちに午後の協働作業のヒントを与えました。
その後、学生たちは逗子キャンパスから徒歩10分ほどの逗子海岸へ移動し、実際にビーチクリーン活動を体験。砂浜に落ちているプラスチック片や木片を丁寧に拾い上げ、「自然物と人工物の区別が意外に難しい」「小さなゴミにも大きな課題がある」といった気づきを共有しました。
「Minecraft(マインクラフト)」のデジタル教材を制作
多様な食材から選べるケータリングでランチを楽しんだあとは、デジタル空間での「もうひとつの海づくり」。サンドボックス型ゲーム「Minecraft」を使い、逗子海岸を舞台にゴミの分別を学ぶ子ども向けのデジタル教材をチームごとに制作しました。学生たちは1人1台のパソコンでアイデアを出し合い、ガラス瓶やプラスチックなどのオブジェクトを可燃・不燃・リサイクルのいずれのゴミ箱に分別してもらうための方法を考えました。学生たちは創造性豊かなゲームなどを創作。スプレー缶を可燃ゴミにするとエラーが出ることを利用して、その理由を考えさせる工夫を施しました。発表会では、それぞれのチームが作り上げた海岸の世界を披露し合い、表現力やチームワークを称え合いました。
オンライン大学だからこそ得られる出会いと学びに驚き
ミネルバ大学で学ぶLukasz Bacewiczさんは「ZEN大学生とはとても良い交流ができました。海岸での清掃活動の時に地球規模で抱える社会問題に関して話をすることができ、初めて会った僕たちの距離を縮めてくれたように思います。Minecraftで教材を作るときも、ZEN大学の学生はとてもクリエイティブでした。革新的なアイディアを次々に提案して、課題に対する解決策を生み出していました。」とコメント。またLiza Sadaterashviliさんは「イノベーションを起点として考えるマインドセットも共通していたし、心からの笑顔で歓迎してくれたこともすごくうれしかったです」と振り返りました。
ZEN大学生・三橋龍起さんは「同じオンラインで学ぶ大学ながら、ミネルバ大学生から『ZEN大学生はビジネスツールのSlackを日常的に使っていてすごい』と驚かれました。一方で、ミネルバ大学は多国籍な学生が共に生活しながら学ぶので、ハラルやベジタリアンなど食事においても違いが多く、日常生活に学びがあることがすごいと感じました」と話し、また、国によってごみ分別の基準が違うことなど互いに新しい発見があったと振り返りました。

左からミネルバ大学のLukasz Bacewiczさん、Liza Sadaterashviliさん、ZEN大学の三橋龍起さん
ZEN大学では、オンラインとリアルを自在に行き来しながら、世界と地域、そして人と人をつなぐ新しい学びをデザインしています。逗子から生まれた今回の国際協働プログラムは、学生一人ひとりが「学びを社会につなげる力」を実感する機会となりました。ZEN大学では今後も、ミネルバ大学の学生との協働プログラムを実施していきます。
















