こんにちは。ZEN大学の吉村総一郎です。株式会社ドワンゴでニコニコ生放送の開発リーダーを2012年から2015年まで務め、その後、N高等学校のプログラミング教育やIT戦略の責任者、S高等学校校長を経て、現在はZEN大学の講師として「ITリテラシー」や「オブジェクト指向プログラミング」など8科目を担当しています。
今回は、IT人材が圧倒的に不足している今だからこそ、ゼロから知識とスキルを積み上げていくことができる「ZEN大学の情報系カリキュラム」についてお伝えします。
実践に強い、情報系カリキュラムの設計
ZEN大学では、「ITやクリエイティブの知識や技術を身に付けて社会で活躍できるようになること」を重視し、アプリ開発・データ分析・ビジネス実践を柱に「情報系90科目」を構成しています。
1. アプリ開発
作ることで学ぶ、いわゆる創造的学び。自分のアイデアを形にする楽しさを感じながら、社会課題を自力で解決する力を養います。
2. データ分析
アンケートデータや動画の視聴ログなど、リアルなデータを扱えるようになります。統計や機械学習だけでなく、「このデータから何が分かるか?」という判断力を重視します。
3. ビジネス実践
pixivと提携したデジタル画像の科目群や、企業と連携したプロジェクト、マーケティング分析、インターンシップなど、卒業後に現場で役立つ経験を積むことができます。
「ITリテラシー」からすべてが始まる
ZEN大学の情報系カリキュラムは、90科目で構成されています。その中でも最初の一歩として位置づけられているのが、「ITリテラシー」という授業です。
この授業の目的は、パソコンの使い方を覚えることや資格の取得を目指すことはもとより、その前提として、「情報社会をどう生きるか」という問いに向き合うことを重視しています。現代において、ITは生活や仕事の中に深く入り込んでいます。その中で、どうすれば安心して使いこなせるのか。どうすれば学びや暮らしを豊かにできるのか。そうした実感と考える力を育むのが、この授業の核です。
たとえば授業では、インターネットがどのように動いているのかといった仕組みを分かりやすく解説します。Wi-Fiや家庭内ネットワークの構築についてもその仕組みから理解できる機会があり、家の中でIT環境を整える力が身に付きます。さらに、国家試験の「ITパスポート試験」の出題内容に相当するレベルの情報基礎知識も習得できるため、将来的に資格取得を目指す人にも役立つ内容です。
また、「デジタル・シティズンシップ」の視点も大切にしています。これは、子どもや高齢者を含むすべての人が、デジタル社会の中で他者を尊重しながら、主体的かつ安心して行動するためのリテラシー。SNSとの付き合い方、プライバシーの守り方、情報の信頼性をどう判断するか――そうしたテーマを通じて、ITとの健全な関係を築いていきます。
この「ITリテラシー」は、「機械が得意ではない」「文系だったから情報系は遠い」と感じている方にとっても、基礎から段階的に学べる構成になっています。高校時代に文系科目を中心に学んできた方や、これまであまりITに触れてこなかった方でも、無理なく「最先端のIT」をキャッチアップすることができます。
文系や未経験者、誰にでも開かれた情報教育
情報系分野というと、理系エリートや数学が得意な人のための領域だと思われるかもしれません。でも、ZEN大学が目指しているのは、「誰にでも開かれた情報教育」です。
誰でも学ぶことができ、さらに誰もが情報関連の仕事を目指すことができます。たとえば、首都圏への移住や外出が難しい方でも、自宅でデジタルを活用した知的生産労働に関わることができます。プログラミングやデータ分析、AIの活用といったスキルは、「自宅にいながら社会に参加する」ことを可能にしてくれるのです。
近年では、在宅ワークやリモートワークといった働き方が普及してきています。そうした社会の変化に呼応するように、ZEN大学の教育は、家庭を大切にしながら働き続けたい人にも、新しいキャリアの道を開いてくれます。キャリアに空白を作らずに、自分のペースで学びながら働ける。そんな未来の働き方を、自ら選び取ることができるのです。
「能力は、外注できない」
AIや自動化の進展によって、多くの仕事が機械によって代替されるようになっています。けれども、すべてが機械で済むわけではありません。人間ならではの身体的経験に裏打ちされた「決断力」「主体性」「他者への共感力」こういったものは、外注することができない能力です。
ZEN大学が輩出を目指すのは、そうした「外注できない力」を、自分の中に育てていける人材です。AIをツールとして使いこなしながら、自ら考え、つくり、伝え、行動していく。そのような力は、誰にでも、どこからでも育てることができます。
パーソル総合研究所の調査(*)によれば、2030年には日本で644万人の人材不足が見込まれています。今、皆さんが身に付ける知識とスキルは、皆さん自身の未来を開く力、社会にとって必要とされる力になります。
(*)特別号 HITO REPORT vol.4(2019年3月発刊)労働市場の未来推計2030 ~644万人の人手不足~