ZEN大学 コンテンツ産業史アーカイブ研究センター(HARC)と立命館大学 衣笠総合研究機構アート・リサーチセンター(ARC)は、2025年6月9日に連携協定を締結しました。日本のコンテンツ産業におけるオーラル・ヒストリーおよび同人創作コンテンツに関する資料のデジタルアーカイブの構築について共同研究を行うほか、学術交流を行い、研究会や作品展示会などの社会的発信についても協力してまいります。
連携協定の背景
日本におけるコンテンツ産業は、国際的な日本のイメージ向上といった文化的影響力に留まらず、コンテンツをきっかけに外国人観光客が日本を訪れるなど、経済の活性化にも貢献しています。また、日本のコンテンツ産業を支える特徴的な存在のひとつが同人創作です。多くのプロクリエイターの登竜門としても認知されており、日本のコンテンツ産業のエコシステムの中で重要な位置を占めています。
一方、これらコンテンツ産業や同人創作において、業界を裏側で支えてきた方々の証言はすでにその多くが失われつつあるだけでなく、歴史的事実に基づいた客観的な評論や研究成果は多くはありません。また、同人創作はコンテンツ産業における重要な存在でありながらも、ユーザー発の文化であるというその性質上、資料保存性がより低いという課題もあります。これらの課題に取り組むため、ZEN大学HARCは立命館大学ARCと連携協定を締結しました。
共同研究の概要
HARCは、ZEN大学の開学に先駆けて2023年に歴史プロジェクトとして始動しました。コンテンツ産業の歴史を形作ってきたヒトやモノ、コトに関わる一次資料を広く深く収集、保存するアーカイブを構築し、歴史資産として研究や教育、事業創造など社会的な利活用のために公開していくことを使命としています。
立命館大学ARCは、文部科学省が定める日本文化資源デジタル・アーカイブ国際共同研究拠点として採択されており、浮世絵や古典籍、番付、日本・京都地図など日本の文化資源に関するデータを250万件以上収録したデータベースを構築しています。同データベースは2023年度のアクセス数900万PV以上、ジャパンサーチ連携数が75万件以上と、多くの人がアクセスする開かれたデータベースであることも特徴です。
共同研究では、マンガ、アニメ、ゲームを中心とするメディア芸術コンテンツ分野や、IT分野、ネット文化分野で活躍した人々についての映像オーラル・ヒストリーの収集とそのデジタルアーカイブを構築するプロジェクト、および、同人創作に関わる一次資料のデジタルアーカイブを構築するプロジェクトを推進します。
「オーラル・ヒストリー」アーカイブ
コンテンツ産業に関わる各分野で活躍した人々の貴重な映像「オーラル・ヒストリー」を対象として、国際的な文化資源研究拠点である立命館大学ARCが構築してきた学術資料基盤とネットワークを活用したデジタルアーカイブを構築・公開します。
「同人創作資料」アーカイブ
日本を代表する同人創作物の交流活動であるコミックマーケットのカタログ冊子を保護・保存するためのデジタルアーカイブを構築し、研究資源として公開・活用するための課題についても研究を行います。
学術交流の概要
ZEN大学HARCと立命館大学ARCは、コンテンツ分野における文化資源とそのアーカイブに関する情報交換や人的交流を行うとともに、広く日本のアート・エンタテインメントに関わる研究会や作品展示会などの企画・共同開催についても協力してまいります。
ZEN大学 コンテンツ産業史アーカイブ研究センター(HARC)▶ https://zen.ac.jp/harc
立命館大学 衣笠総合研究機構アート・リサーチセンター(ARC)▶ https://www.arc.ritsumei.ac.jp/