【ZEN大学すずかんゼミ】AI時代のスタートアップ成功のヒント
川邊健太郎氏による特別講義

サムネイル画像

ZEN大学すずかんゼミ」では2026年2月12日(木)、LINEヤフー株式会社代表取締役会長の川邊健太郎氏をお招きし、すずかん先生こと鈴木寛特別招聘教授、および作道直幸准教授と共に特別講義を実施しました。

トークセッション①:ベンチャー企業「電脳隊」誕生秘話

最初のテーマは「すずかんゼミ」について。

川邊氏は学生時代、すずかんゼミの前身である「謎の研究会(通称:謎研)」に在籍し、ゼミ創設時にはティーチングアシスタントを務めていました。二十歳の頃から川邊氏をよく知るすずかん先生は、「川邊さんの優れているところは、友達を大切にしている点」と語り、スタートアップ成功の鍵は技術力以上にマネジメントやリーダーシップにあると指摘しました。

学生時代、川邊氏はサンバチーム「青山サンバ隊」を結成し、仲間と何かをつくる楽しさや組織運営のコツを学んだと言います。その後、インターネットブームに乗って活動を「電脳隊」へと発展させ、ベンチャー企業として立ち上げ。「その時一番熱いものに飛び込むミーハー心も大事」と語り、消費者ニーズや課題解決への意欲だけでなく、「面白そう」という直感で動くこともスタートアップでは有効だと話しました。


パブやラーメン屋での雑談からビジネスは加速する

インターネット事業を始める際、技術者を探していた川邊氏がラーメン屋で仲間と議論していたところ、興味を持って声をかけてきたのが東京大学工学部の学生でした。そこから優秀なプログラマーを巻き込み、事業は一気に加速。「熱い想いを持って活動していれば、奇跡を呼び込める」と振り返ります。

また、シリコンバレーでスタートアップビジネスのノウハウを学んだ際には、パブで交わされていた携帯電話やインターネットの話題が、帰国後のビジネスの大きなヒントになったそうです。作道准教授もこれに共感し、「研究も論文が出てからでは遅い。国際学会の裏で話されている雑談こそ最先端」と語りました。

川邊氏は、こうした創発的な経験を得るには、すずかんゼミが得意とする「創発的な環境」に身を置くことが重要だと強調。謎研時代には関東と関西の学生が交流し、異なるセクターが混ざり合う場が生まれていたと振り返りました。


トークセッション②:AI駆動型人間とは?

2つ目のテーマは「AI」。

川邊氏は、インターネットとAIの決定的な違いは「身体性」にあると説明します。インターネットが情報ツールとして個人の能力を向上させるのに対し、AIは、身体的な領域にまで影響を及ぼし、人間を“生物として進化させる”感覚があると言います。

「AIはドーピングにもなりうる」、つまり不正につながる可能性が否めないという懸念に対しては、「使い方は人間次第。人文知や倫理を学び直しながら向き合う必要がある」としつつ、量子コンピュータとの掛け合わせによる技術革新など、予測不能な未来への期待も語りました。

2026年6月にLINEヤフー会長を退任予定の川邊氏は、退任後は「AI駆動型人間」を目指すと宣言。「人に頼ることを一旦やめて、AIに相談してやってもらう」と話し、昨年から始めたYouTube運営もAIと相談しながら行っているそうです。推し活にもAIを活用し、対象者のブログをAIに読ませて気になる話題だけ抽出してもらうなど、日常的にAIを取り入れていると紹介しました。


質疑応答:“エモ”と“推し活”がキーワード

質疑応答では、将棋、IoT、ピアノなど学生自身の興味関心のある分野とAIに関する質問が多く寄せられました。どの分野においても共通したのは、川邊氏やすずかん先生の回答が「エモさ(人間の感情がいかに揺さぶられるか)」に触れた点です。AI時代における“人間らしさ”とは何か、人間のエモーショナルな部分とAIに任せる部分の融合が鍵となるといった議論が展開されました。

「便利なAI時代に、人間同士のコミュニケーションは必要なのか」という問いに、川邊氏は「時代錯誤なコミュニケーションは減らしていい」としつつ、「推し活のように楽しくてやるコミュニケーションは増やすべき」と回答。ローマ帝国の歴史や政治の話題にも触れながら、学生には「楽しいと思うことを中心に取り組んでほしい」とエールを送りました。


学生時代にインターネット事業を立ち上げて以来、約30年にわたり会社運営に携わってきた川邊氏。起業を志す学生にとって、実践的な学びから、これからのAI時代をどう捉えるかという示唆まで、多くの気づきがもたらされた講義となりました。すずかんゼミの大先輩から得た学びを学生たちは引き続きそれぞれの探究へと発展させていきます。

一覧へ戻る