【学生ブログ】生産者と消費者の顔が見える関係性づくりをめざして——長崎県波佐見町の地域連携プログラムレポート

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はじめまして、ZEN大学1年生のゆいです。2025年10月から11月に、長崎県波佐見町の地域連携プログラムに参加し、地域が抱える課題に取り組みました。下記のレポートは、その1ヵ月の活動についてまとめたものです。

実際に波佐見町を訪れてみて…


10月下旬、私は長崎県の波佐見町を訪れました。波佐見町は長崎県の中央に位置し、佐賀県との県境にある、県内で唯一海に面していない内陸の町です。「波佐見焼」と呼ばれる陶磁器が有名で、江戸時代から全国有数の焼きものの産地として、主に日常使いの食器が作られてきました。陶石を原料とした器が多く、丈夫で薄く軽いという扱いやすさも魅力の一つと言われています。

波佐見焼は、生産工程を分業化し大量生産を行うことで、かつて高価だった磁器を庶民の食卓へ届けてきました。 また、製品を焼き上げる窯元の多くは、工房の隣に自社作品を販売するショップを併設しており、伝統を活かしながらも、窯元ごとにデザインや色、形の異なる作品が、まるでアートギャラリーのように並んでいます。それらを巡る体験は、まるで美術館を巡るようで、食器として使うだけでなく、見たり触れたりと五感で楽しみながら、一つひとつの器との一期一会の出会いを味わうことができます。

さらに町の魅力は波佐見焼にとどまらず、町全体でアートに触れられる点にもあります。町内にはさまざまな飲食店や雑貨店が点在し、デザイン性と独自のアイデアを活かした、訪れるだけでワクワクするようなお店に出会うことができます。私はこの町を「アートに彩られたカラフルな町」と呼びたいです!

波佐見町を訪ねたきっかけは、農業問題に取り組むため


今回、私が波佐見町を訪れたのは、日本の農業問題に興味を持ち、実際の農家さんの現場の声を聞いて見聞を深めたいと思ったからです。そこで「農家さんが大切にしている“やりがい”や”想い”を尊重しつつ、これからを担う子育て世代や若い世代にとって、収入面も含めて“やってみたい”と思える魅力的な職業にすることを目指しました。

その第一歩として、「農業という仕事に興味を持ってもらうこと」を最初のゴールに設定しました。

ピーマンの収穫体験では、選別や梱包など手間のかかる作業が多いことや、味に変わりはないのに規格外野菜が想像以上に多く出ることを知り、出荷することが難しい規格外野菜に着目することにしました。

具体的には、規格外野菜や出荷が難しい食材を地元の飲食店で使ってもらうことで、地産地消を実現しつつ、飲食店を架け橋にして、「誰が、どんな想いで作った食材なのか」を消費者に伝えることで、波佐見の食材のファンを増やしたいと考えました。これは、今まで結び付くことがなかった「生産者」「飲食店」「消費者」の3者を繋ぎ、一人でも多くの波佐見の人たちに地元の野菜やお肉、卵の美味しさに気づいてもらうきっかけを作る取り組みです。

生産者の思いを伝える「はさみ生産者図鑑」


ただ飲食店に食材を使ってもらうだけではありません。波佐見町の農家の方一人ひとりにスポットライトを当て、その想いとこだわりを伝える雑誌としてこのプログラムに参加したみとさんと共同で「はさみ生産者図鑑」を作り、メニューと一緒に置いてもらうことが重要だと考えました。この「はさみ生産者図鑑」では、作物へのこだわりやストーリー、人柄を紹介しています。料理を待つ間に読んでもらうことで、生産者の想いを知り、その存在を身近に感じてもらう狙いがあります。さらにこれだけで終わりではありません。図鑑を読んだお客さんが生産者さんのもとを訪れて「農業体験」をすることを最終ゴールと考えています。

この一連の「経験」を通じて、農家さんの素晴らしさや、食べ物を育てる大変さや大切さに気づいてもらい、「どの生産者さんがどんな想いを込めて作った食材なのか」を理解し、共感と応援の気持ちを育んでいってほしいと思います。

そして農業体験をした方々の中から、一人でも多くの人が農業という職業に興味を持ち、将来の仕事として「やってみたい」と思ってもらえたら、これ以上に嬉しいことはありません。

農業の未来を救う鍵は、想像力?


これを読んでくれている皆さんにもお聞きしたいです。

「あなたは、自分が食べるものがどこから来ているか知っていますか?」

これからはスーパーで食材を買う時、少しだけ視点を変えてみてほしいと思います。手に取ったその食材の向こう側には、必ず想いを込めて作っている生産者がいます。

その姿を想像することこそが、日本の農業を救う第一歩になると私は信じています。

このプロジェクトを通して、本当に多くの波佐見の方々にお世話になりました。地元住民の皆さんがとても温かく迎え入れてくださり、心がホッとするような経験を何度もさせていただきました。1ヵ月という長いようで短い滞在でしたが、これからも波佐見町のことを考え続けながら、自分に何ができるのかを積極的に模索していきたいと思います。


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