ZEN大学では、フィールドワーク型プログラム「ZEN街歩きプロジェクト」を2026年3月14日(土)に開催しました。吉見俊哉特別招聘教授がガイドとなり、首都圏近郊の街を実際に歩いて歴史・文化・社会の多層性を体感することを目的とした内容です。第一弾は東京・四谷で実施し、18名の学生が参加しました。
イベントの模様を、当日アテンドしたティーチング・アシスタントの三好裕貴さんがご紹介します。
信濃町駅集合:初対面のワクワク
TAの三好裕貴です。私自身、吉見先生の解説を聞きながら街歩きができるこの日を、非常に楽しみにしていました。
当日、職員の方々と少し早めに集合場所の四谷へ到着し、学生を待っていた際にふと一つの疑問が浮かびました。それは「どうやって学生を認識すればよいか」ということです。ZEN大学には多様なバックグラウンドを持つ方々が在籍しており、年齢も職業も様々です。オンライン上の交流が中心であるため、対面でパッと見分けるのは難しいのでは、と少し不安を感じていました。
ところがどっこい、続々と学生たちが集まり始め、現場はすぐに活気に包まれました。無事に全員が揃ったところで、先生を囲んでの注意事項の共有や、解説をクリアに聞くための無線機の配布、そして自己紹介を行い、いよいよ街歩きがスタートしました。

無線機のテストを兼ねながらおすすめの街歩きの方法を話す吉見先生。私が気に入ったルールは「見通しのよい真っすぐな道と曲がりくねった道で迷ったら後者を選べ」です。
街歩きスタート!!:超贅沢なガイド付き
街歩きが始まると、無線機を通じて吉見先生の解説がリアルタイムで届きます 。美術館の音声ガイドのように、目の前の風景に専門的な知見が加わっていく感覚です 。著名な研究者である先生から直接、ライブで解説をいただけるのは、教育機関としての大学が提供する学びならではの、非常に貴重な機会と言えます。当初は緊張した面持ちだった学生たちも、先生との対話が重なるにつれて、次第にリラックスした表情へと変わっていきました 。

写真からもわかるように、先生と多少離れることがあっても、無線機のおかげで超快適に声を聞きながら街歩きができました
写真で振り返る:四谷の街並み
先生による多岐にわたる解説の詳細について、当日の四谷の街並みを捉えた写真とともに振り返ります。まさに「百聞は一見にしかず」と言える光景が広がっていました 。
街歩きがなかったら歩かなかったような細い道、小さな公園にも様々な歴史的な背景がありました。
先生が言った通り、あえての曲がりくねった小道を歩きました。右は映画『君の名は。』で有名な階段
先生からの解説だけでなく、学生からも質問し放題!最後は四谷三丁目付近で解散!
解散を迎える頃には学生同士の交流も深まり、会場は非常に和やかな雰囲気に包まれていました 。先生との質疑応答も活発に行われ、まさに双方向的な学びが体現された時間となりました。
マップ発表会
後日行われたオンライン発表会では、学生たちが「歩きたくなるマップ」をテーマに制作したオリジナルマップを披露し、吉見先生から講評をいただきました。学生一人ひとりの視点が反映されたマップは多種多様であり、各自が「オンラインを持って街に出る」というコンセプトを独自の解釈で深めていることが伺える、非常に実りあるプロジェクトとなりました 。

オンライン発表会の様子
プロジェクト後、逗子キャンパスで行われた新入生懇親会「シラバス外からこんにちは🤚単位の出ない大講義フェス」ではマップ展示を行い、新入生にも見てもらいました。

それぞれの学生が作成したオリジナルマップを展示
参加した学生からの声
「普段知っている駅でも、一本裏道に入ると全然違う景色を見ることができる楽しさを、改めて実感しました。そして普段顔を合わせることが無い同期と出会えたことも思い出に残っております。東京の表の顔と裏の顔、今と昔、坂の高低差が生み出す東京という町の対比を、思う存分味わうことができました」(みのりんさん)
「同級生たちとひたすら歩き、先生の興味深い話に耳を傾ける。初対面の相手とも交流も生まれてくる。オンライン授業だけでは難しい、これぞ大学という体験が凝縮された時間でした。発表会ではZEN大学生らしい個性あふれる発表への吉見先生の熱いフィードバックが勉強になりました」(サワラさん)
「リアルで実際に大学の人や先生方とお話しできてとても楽しかったです!
アカデミック過ぎず、カジュアル過ぎず、学びもあり友達もできて、大学が主催するイベントとしてとても参加しやすかったです」(せいさん)
「吉見俊哉先生とZEN大学生が一緒に、信濃町から四谷三丁目までの「街の裏側」を2時間半かけて歩き抜きました。普段ならわずか10分で通り過ぎてしまう距離ですが、路地裏に迷い込むことで、均質化された再開発の波に抗う「人間的なスケールの時間」を体感することができました。
特にお岩さんゆかりの地を巡り、「理不尽な最期を遂げた悲劇の主人公こそが、時代を超えて外部の人を惹きつける磁力(集客力)を持つ」という仮説に至ったことは、自分にとって大きな知的興奮を伴う収穫でした。単なる観光ではない、都市の歴史や人間の営みを読み解く「論文」のような街歩きを体験でき、非常に有意義な時間でした」(akiyukiさん)
おわりに:画面越しでは味わえない「対話」の深まり
最初は緊張気味だった学生たちが、街を歩き、先生や仲間と対話を重ねる中で、次第に自分なりの「視点」を獲得していく姿が非常に印象的でした。画面を飛び出し、実際に「街」という現場に立つことで得られる気づきは、一人ひとりの探究心をさらに加速させてくれるはずです。次回のプロジェクトでも、また新たな発見と交流が生まれることを楽しみにしています。







